2011年8月9日火曜日

Michelangelo Rossi : Settima Toccata


これはロッシのトッカータ第7番の冒頭7小節である。

上段は6線譜、下段は8線譜で、17世紀の記譜としては一般的なものだろう。
調号からはこのセクションがニ短調であることがわかる。

拍子記号は"C"となっているが、何分の何拍子に見えるだろうか。
1小節目の下段を見ると、全音符がひとつに二分音符が2つある。
2小節目から6小節目までは二分音符2つ分、7小節目は二分音符4つ分ある。
小節線は書いたり書かなかったりということもある。

上段の音部記号はソプラノで始まり、5小節目でアルトになるが、7小節目の途中から再びソプラノに戻っている。
下段はバスとバリトン(?)が併記されている。

冒頭の和音、左手はオクターブとさらに3度上の3音を弾くことになり、10度の開きがある。
クロマティックな音列の鍵盤では指がもげそうになる。
おそらく当時はショートオクターブの楽器で弾いていたのだろう。

フレスコバルディの9箇条に従って、冒頭の和音はゆっくりとアルペジオで装飾的に弾き、このセクションの終わりとなる6小節目までをひと息で弾ききるようにする。
ソプラノ声部に現れたパッセージはテノール、アルト、バスに受け継がれて行く。
水が上から下へ流れるように、アッチェルランドしつつ6小節まで一気に流れ込むような感じがよいかも。
そして7小節目の前半は加速した分の速度を戻して威厳のある堂々とした和音を響かせると効果的な対比となるだろう。
セクションの終わりとなる3つ目の2分音符は長くとって終止感を出す。
そして7小節目の後半は気分をがらりと切り替えて颯爽と開始するとまた効果的になる。

以上、ざっと見て誰でもすぐに思い当たるようなことだが、たったの7小節だけでも色々と発見がある。
そこがファクシミリ譜の面白さでもあると思う。

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