2007年9月28日金曜日

よい指 悪い指

17世紀の鍵盤音楽を弾く上で、当時の運指法の原則は知っておくべきだと思う。
現代ではあらゆる面で均等化がよしとされるが、400年前はそうではなかった。
5本の指はそれぞれ長さが異なるし、親指に至っては他の4本とは違う向きに付いている。
それぞれの指について能力の均等化を目指すのではなく、むしろ異なる能力をそのまま音楽の中に生かそうと考えていた。

5本の指は「よい指」と「悪い指」に分かれ、強拍には「よい指」を、弱拍には「悪い指」を用いることが普通だった。
ただし、どの指がよいのか悪いのかは地域によって異なるため、作品に応じてよく検討する必要がある。

実際にはアーティキュレーションやフレージングが絡み合ってもっと複雑なのだが、運指を決定する仮定で根底となるのはそこだろう。
現代のように弾き易さがこれらに優先されることはない。

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