2007年10月6日土曜日

フレスコバルディ トッカータ集 第1巻 序文

1. まずこの演奏スタイルでは厳格な拍子に合わせてはならない。テンポが表現される情緒や言葉の意味に従ってその気分に合わされる今日のマドリガルのように合わせてはならないのである。

2. 私はトッカータの中に別種のパッセージや各種のセクションを挿入したが、それは単独に演奏されてもよいのであって、演奏者はそれを通して演奏しなければならないと考える必要はなく、自分の趣味に従って終わらせればよい。

3. トッカータの始めはアダージョとアルペジョで演奏される。それは、曲の途中のシンコペーションと不協和音についても同じである。和音は両手でアルペジョで演奏しなければならず、又奏者はそれをアドリブで自由に繰り返してよい。楽器は音が途絶えてはならない。

4. 音階や分散和音の中のトリルやパッセージの最後の音符では、パッセージ相互の混同を避けるために --音価に関係なく-- 少し保持しなければならない。

5. 例え小さい音符で書かれていても、カデンツはソステヌート(音を大切に)で演奏しなければならない。そして、パッセージやカデンツの終わり近付けば近付く程、益々速度を落とさなければならない。区切りやパッセージの終わりは両手に対して2分音符の和音で示される。

6. 一方の手がトリルし他方の手があるパッセージを弾いている場合、トリルは規則正しい音符に分けるのではなく、流れるように、パッセージは余り速くなく明瞭に演奏しなければならない。そうしないと混乱が起こるであろう。

7. 一方の手が8分音符のパッセージを演奏し他方の手が16分音符の走句では、二番目の16分音符は少し符点気味にして弾いていく。一つは符点を付け、他は符点なしでという具合に弾く。

8. 例え短い音符でも、16分音符のダブル・パッセージの前の音符で休止をとり、それからきっぱりとパッセージに入っていって手の軽快な動きを示しなさい。

9. パルティータやトッカータの速い変奏やパッセージにおいては、中庸のテンポを選ぶ方がよい。変奏がない場合には、もっとスピードをつけて演奏しなければな らない。曲の精神と奏法の最もよく合致するテンポを見つけ出すのは、奏者の良い趣味と正しい判断に負うものである。

(パッサカリアの色々な部分は随意に取り出して弾くことができる。同じことがシャコンヌにもあてはまる。)

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